本を読む女性が魅力的!〜『おおかみこどもの雨と雪』

 『時をかける少女』、『サマーウォーズ』に続く、細田守監督の最新作。
 大学生の花は、"おおかみおとこ"と出会って恋に落ち、やがて雪の日生まれの姉"雪"と雨の日生まれの弟"雨"の2人の子をもうける。しかし、"おおかみおとこ"は急に亡くなり、花が姉弟を育てることに・・・。

 この作品を観て、改めて気付いたこと――それは、自分が「本を読む女性に魅力を感じる」ということだ。花と"おおかみおとこ"が大学の図書館で一緒に過ごしたり、デートの待ち合わせ時間に文庫本を読んだり、この物語では、随所に「本」が登場する。やがて花は姉弟を独力で育てるために大学を中退(おそらく一橋大学社会学部中退だ)するのだが、子どもを産む時、育て方に悩んだ時、山奥で畑を作り作物を育てる時・・・あらゆる時に本を積み上げて片っ端から読む場面が描かれる。
 だからと言って「頭でっかち」ではなく、何でも実際にやってのける強さが、花にはある。いろんなタイミングで花の本棚も登場するが、人生のその時その場面に応じた本が並べられている。移動図書館で園芸の本を借りて、ひたむきに農作業をする花の姿に、完全に魅了されてしまった。

 「"おおかみおとこ"がいたら、こんな感じだろうなあ」というのを受け入れることさえできたら、この作品を楽しむことができるだろう。詳しくは書かないが、雪の降った日に親子3人で丘を駆けるシーンや、大雨の日の小学校でのカーテンのシーンなど、美しく印象深い描写があり、姉弟が1年生から6年生まで成長するシーンも映像として上手に処理されている。『時をかける少女』、『サマーウォーズ』も良かったが、本作も期待以上に素敵だった。

(12/08/22・シネプレックス旭川