演劇博覧会「カラフル2」【1日目】

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 2005年に開催された愛・地球博の会場,愛知県長久手町で3日から2日間,演劇博覧会「カラフル2」が開かれている。4年前に地元の若手劇団が開いた「カラフル」の拡大版で,名古屋の劇団を中心に,大阪や東京,京都も含めて16劇団が参加した。2劇場同時に,約1時間の芝居を上演。2日間かけて,最大で16作品すべてを観ることができる。
 1本終わるごとに2つの劇場を行き来して,お目当ての劇団を見る人も多かったようだが,大きめの劇場に腰を据えて,そこで上演される8本を,朝から晩まで淡々と観ることにした。当然,好みに合う,合わないや当たり外れもあり,途中で居眠りもしたものの,なんとか最後まで見終えると午後9時半。結構ぐったりしてしまった。

 ベテラン・北村想主宰の劇団「avecビーズ」は,これまたベテラン(?!)の女性6人の芝居。黒澤明の名作「七人の侍」の名場面を再現しながら,テンポのよい物語運びで,ぐいぐいと引きこまれた。結局のところ何だったのか,後から考えてもよくわからないけれど,1時間があっという間に感じた。『サド侯爵夫人 第一幕』を上演した東京の劇団「Ort-d.d」は,俳優たちの身体の動きやエスニック系の打楽器で感情などを表現しており,手法は興味深かった。ストーリーはばかばかしくて行き当たりばったりテイストの「西田シャトナー演劇研究所」や,ちょっと時間が足りなかった感もあるが「劇団翔航群」の作品もなかなか魅力的だ。
 きょう観た作品で最も印象に残ったのは,「煉獄猿(れんごくましら)」の『舞鳥』。宮沢賢治の『グスコーブドリの伝記』が原作で,いかにも宮沢らしい物語を,高校演劇のようなまっすぐさで演じていて好感が持てた。典型的な感動モノに弱いので,まんまとツボにはまってしまう。そんなわけで,今日のベストはこの作品。タイトルは主人公の「ブドリ」に引っ掛けてあるのだということは,3本ぐらいあとの作品を見ている途中にやっと気付いたのだが。
 ところで,きょうの8作品のうち約半数が,客席を芝居に使用していた。劇場の客席が馬蹄形に配され,演出についつい使ってみたくなる気持ちはわかるのだが,練りに練った演出プランならまだしも,客を"つかむ"ために役者を客席から登場させる"だけ"だと,そしてそんな作品が何本かあると,若干しつこく,いやらしく感じてしまう。また,上映時間が1本につき1時間という制約があったとはいえ,物語が消化しきれていなかったり,尻切れトンボな感じの作品もあった。会話の面白さに頼るコントのような作品もあり,物足りなさも残る。

 そうそう,大学の同級生がひとり,観に来ていた。たしか,故郷の愛知県で高校の教員になったはずで,演劇部員らしき高校生を引率していたようだったので,話しかけなかったけれども,しっかり社会人になったんだなあと感慨深かった。