泪壺

 渡辺淳一の短編小説が原作。主演の小島可奈子が見てみたくて劇場に足を運んだ。
 「ひょっとしたら、あえて狙ってるんですか」と聞きたくなるぐらい、表現があまりに安易で安直。とってもチープ感が漂う。原作にはなかったという、登場人物らの少年・少女時代のエピソードも、魅力に欠ける。物語にたびたび登場する、朋代(小島)が涙をこらえるために疾走するシーンなんか、物語のキモなんだろうから、演出とかをもう少し考えて欲しいものだ。
 スクリーンの中では、ある意味テンポ良く、どんどんストーリーが進んでいくが、脈絡も情感もなく、すっかり置き去りにされてしまった気がしてならない。

(08/05/08・シネマスコーレ(名古屋))