ナゴヤSNOWY


 朝から雪が降っている。別に雪が降って喜ぶような年頃でもなければ、雪が珍しい生い立ちでもないのだが。
 アパートの部屋を出ると、階段にしっかりと雪が積もっていて驚く。名古屋でもこんなに雪が積もるんだなあ、と妙な感慨さえ覚える。ふと思い出して玄関まで戻り、傘を手に取る。雪の日に傘をさす−故郷を離れてから身に付いた習慣だ。
 県庁にも雪が積もっている。中途半端に城のようなデザインの奇妙な建物も、雪化粧をすると何だか味わいのある代物に見えてくる。このままたくさん降って、名古屋の無機質なまちなみを優しく静かに包み隠してしまえばいいのに。
 前言撤回。僕はいまだに雪が降ったら喜ぶような年頃のようだ。