センチメントの因数分解


 まだ大学に入ったばかりのころ。涙脆い自分は、映画やドラマ、小説などでせつないストーリィに触れて涙を流すたびに、自分の涙腺を刺激する要素はいったい何なのかを分析してみたいと思ったものだ。まるで因数分解でもするかのように。
 いつの間にか、フィクションではなく実生活でも、せつない気持ちになる機会が増えた。月並みな表現だが、出会いと別れの春ともなればなおさらだ。
 4年前からの記者仲間が新しい人生を選び、一昨日旅立った。昨日は父が定年退職。そしてきょうは、ある人の最後の舞台を観た。見送ってばかりの3月は淋しい。