結婚写真

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 女優であり、脚本家でもある中江有里の、初の単行本小説集。映画『ふたり』の、優等生で気の強い女子中学生役がとても印象的だし、カラオケに行くとついつい『風の姿』を歌いたくなる。

 さて、登場人物の人物設定や心理描写がとてもいい。男性こそあまり深く描き込まれていないが、女性については、少女から大人の女性まで、一人一人がとても魅力的だ。表題作『結婚写真』は、母娘のすれ違いの様子が上手に強調されているし、元々ラジオドラマの脚本として書かれた『納豆ウドン』は、なるほど関西弁の生き生きした台詞を中心に、物語がテンポ良く運ばれている。今後の小説家としての活躍もぜひ期待したい。

 文章も読みやすく、一気に読み終えることができたが、ひとつ残念なのは、やたら脱字や誤植が目立つこと。著者の責任ではないのだけれど・・・。