バスジャック


バスジャック

バスジャック

 原田知世主演で映画化されると聞いてあわてて読んだ、デビュー作の『となり町戦争』以来、三崎亜記にハマリ気味だ。現実からちょっとだけずらした、"ありえない世界"をリアルに書くのがとても上手な作家だ。
 長さがまちまちの短、中編が何本か載っていて、たとえば表題作『バスジャック』は、バスジャックが流行している世界の話。ルールが細かく決められていたり、上手にやってのけると名声(?!)を勝ち得ることができたりするという世界の話だ。
 ここのところ、片道1時間以内の小旅行が多かったので、新幹線など電車のなかで読むのに重宝して、しばらく持ち歩いたりしていたが、表紙を閉じてホームに降り立っても、現実からちょっとだけ"ずれ"た物語の世界から抜け出せないという奇妙な感覚におそわれることもしばしば。