一度でいいから見てみたい


――女房がヘソクリ隠すとこ。歌丸です!…というモノマネが流行ったのはいつのことだったろうか。そして、本物の歌丸はそれをかつて言っていたのだろうか?
 きょうは寄席を見に行ってきた。桂歌丸が会長を勤める「落語芸術協会」主催の落語会、歌丸三遊亭小遊三らが出演するとあって、いつもは閑古鳥の鳴く大須演芸場も立ち見が出るほどの大賑わい。開場30分前に着いたのに、2階席の一番奥がかろうじて空いているような状況だった。
 普段から落語を見慣れているわけではないので、専門的なことはよく分からないが、ひとつひとつのネタに会場がドッと沸いたり、意外と受けなくて演者が一瞬ひるんだような表情を見せたり、その場でその空気の中にいるからこその面白さに満ちあふれていた。これこそまさにライヴの楽しみだ。
 ベテランの安定感だけではなく、若手の中にも工夫を凝らして客の心をしっかりつかむ人もいて、それぞれの演者の個性が現れていた。そして、何と言っても歌丸。テレビの大喜利で見るような瞬発力ではなく、きちんと訓練された表現力に裏打ちされた話芸を、これでもかというぐらい見せ付けられた。落語、けっこうハマるかも知れない。